〈聖地巡礼〉もしつつ鉄分補給もしつつ@長野

昨年、アニメ『ツルネー風舞高校弓道部ー』の聖地巡礼のため、長野市周辺を訪れた。短い時間ではあったが多くの聖地を見て回ることができ、自分の中で満足のいくお出かけになったので、また数年したら行こうと思っていた。

しかし、その後放送されたアニメ2期『ツルネーつながりの一射ー』を見ているうちに、またしても作品の世界観に浸りたい気持ちが強くなってしまった。
そこで、今年まだ1度も泊まりがけのお出かけをしていないのをいいことに、急ピッチで旅程を立て、再訪することを決めてしまった。

とはいえ、まだ前回の聖地巡礼から1年ちょっとしか経っておらず、長野市内の主なスポットはその時に見て回ってしまったので、今回は聖地巡礼の要素も含めつつ、前回はあまり盛り込めなかった"鉄"分の補給に重点を置いたお出かけとすることにした。

 

聖地巡礼の際の記事はこちら↓

 

green789hoh.hatenadiary.jp

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1日目

 

前回は現地の滞在時間をなるべく多く確保するために、行きも帰りも新幹線を利用したが、今回は趣向を変えて在来線である中央本線を利用するルートを選んだ。

中央本線というと、長野県内でもどちらかというと長野市ではなく諏訪や松本辺りに向かう人が利用するイメージがある。実際、首都圏からだと新幹線を使うルートに比べるとかなり遠回りになるし、実際移動だけで1日を費やしてしまった。

しかし最初に述べたように、今回は聖地巡礼100%のお出かけではないつもりだったし、あえて遠回りの在来線を使うくらいなので、目的地までの道中を楽しむことに重点を置いた。

 

中央本線は、通勤電車が行き交う都心側だけでなく山梨県側でも普段からちょくちょくダイヤが乱れることがあり、お出かけ前日も架線破断により一時的に運転見合わせが発生していた。(これは都心側で起こった事であったが)
どうか何もアクシデントに巻き込まれることなく通過できるようにと少しばかり気を揉みながら、西へ向かう特急列車に乗り込んだ。

乗車した特急列車は全席満席だったが、そのうち半分くらいの乗客が途中の大月で下車した。その多くはインバウンド客のようだったし、きっと富士山に向かったのだろう。

車窓から見える甲府盆地を撮ろうとしたら、見事に架線柱がカットインしてしまった。

 

 

甲府駅のホームに掲示してある所要時間表。東京駅から山梨県のほぼ西端までがこの一枚に収まっている。


甲府で特急列車から普通列車に乗り換え、さらに西へ。甲府へ向かうときには勾配を駆け下り、離れるときはまた登っていくさまに、まさに自分は盆地を通り抜けていったのだなぁと実感した。

 

このまま脇目もふらずに長野まで向かっていっても良かったが、それだとかなり時間を持て余してしまうので、下諏訪で途中下車。諏訪、ということで諏訪湖へ寄り道。

 

パノラマモードで撮影した諏訪湖

周りを山々に囲まれた土地、という点では先ほどの甲府と地理的要素は似ているが、こちらはその囲まれた土地の大部分を湖が占めていることから、人々の生活圏がより密になっている印象を受けた。

 

上の写真の真ん中あたり、ちょうどこの場所の対岸にある中央自動車道 諏訪湖サービスエリア(SA)が、このお出かけ最初の『ツルネ』聖地。1期第10話で、湊とマサさんが西園寺先生のもと訪れた帰りに立ち寄り、マサさんがコーチとして、また弓引きとして抱えていた胸の内を湊に打ち明けた場所である。当初はここに立ち寄るつもりは無かったので、期せずしてまた1か所聖地巡礼*1したことになった。

実際の地理に即すと、マサさんと湊は長野市から諏訪湖周辺(もっと遠く?)まで移動したことになるのだが、マイカーを持っているマサさんはともかく湊にとってはなかなか思い切った行動だったのではないか。*2
また湊と愁は小学生時代に西園寺先生の下に通って教えを授かっていたが、2人はどうやって遠路はるばる通っていたのか…?創作と現実を同じ視点が考えるのは若干ナンセンスな気がしつつも、気にならずにはいられなかった。

ちなみに、諏訪湖SAの近くには「湊湖畔公園」「湊小学校」なる場所があるらしいと、このとき知った。作中には一切現れないが、そんな繋がりがあるとは思いもしなかった。というか、偶然にしては出来すぎている気がする…。

 

諏訪湖を後にし、再び下諏訪から普通列車で西へ。松本で降り、後続の特急「しなの」に乗り換え。松本から長野に向かう間には、日本三大車窓として名高い、姨捨駅から望む善光寺平の風景が広がり、日が沈んでから通過することから、もしかすると夜景の善光寺平が見られるのでは!?と期待していた。

しかし通ってみれば、思っていたよりも線路際の草が生い茂っていたり、そもそも車内の照明が窓ガラスに映り込んでしまったりと、残念ながら期待していた景色を見ることは出来なかった。やはり昼間に、ちゃんと姨捨駅に降り立ってみるのがベストに違いない。

 

余談ながら、下諏訪から松本まで乗車した普通列車の行き先は、松本ではなく長野。しかも長野には「しなの」よりもこの普通列車がギリギリ先に到着していたという、合理性皆無な旅程であった。姨捨にも止まることを考えたら、乗り換えなかったほうが良かったという考えもできるが、あまり深くはツッコまないでほしい。

さらに、この普通列車の始発駅はなんと高尾。東京都から長野県までを一本で結んでいて、全区間を乗り通すとおよそ5時間かかる。ひたすら普通列車に揺られてどこかに行きたい、という時の選択肢の1つとして、いかがだろうか。

 

とまぁ、そんなこんなで1日目は終了。

 

2日目

2日目は、マサさんが神主を務める夜多神社のモデルとなったとされる伺去神社への参詣から始まる。昨年も訪れた場所ではあるが、2日目にしてやっと本来の聖地巡礼となった。
前回は神社の前にも別の聖地に立ち寄ったが、今回は真っ直ぐ向かうことにする。
長野駅からバスに揺られること20分強。神社最寄りのバス停で降り、前回も歩いたキツい傾斜の坂を10分ほど登り、昨年ぶり2度目の伺去神社に着いた。

 

鳥居の先の長い階段を登りきると、堂々とした社殿が変わらずそこにあった。1つ違ったのは、社殿の前に茅の輪が設けられていたことだ。おそらく、今回の来訪が稲刈りの時期に重なったからだろう。決まりに従って輪をくぐることでご利益があるとのことで、輪の脇に掲示された決まりを見ながらその通りにしてきたのだが、果たしてあのたどたどしい動きでご利益をいただけたのだろうか、と要らぬ引っ掛かりを感じてしまった。

 

おさいせんも納め、この参拝の数日前に代替わりしていた来訪者向けのノートにも記録を残し、神社を後にした。行きと同じ路線のバスに乗り長野駅まで戻ったあとは、この日最も時間を割いた“鉄”活動、長野電鉄線(長電)の乗りつぶしに向かった。

 

JR長野駅善光寺口。ここもまた、アニメ2期本編にワンカットながら登場した「聖地」の1つ。
※画像は一部加工してある。

 

長電はツルネ1期・2期ともに海斗・七緒の通学シーンで登場した。前回の訪問時は、彼らの通学区間周辺だけの乗車だったが、今回は全線を通して乗ることにした。

全線言っても特急を使えば45分程度だし、何と言ってもその特急に乗るための特別料金が、全区間乗っても1乗車あたり100円という、一瞬目を疑うような安さなのだ。*3

 

ということで、今回利用した特急がこちら。

 

この見た目に見覚えがあるという方もいるだろう。何を隠そう、JRが運行している成田空港へのアクセス特急成田エクスプレス」の先代の車両である。新車に置き換えられた際、多くは廃車されてしまったが、こうして一部が長野の地で言わば「セカンドライフ」を送っているのだ。長電では、沿線の地獄谷野猿公苑にいるニホンザルにちなんで「スノーモンキー」の愛称が付けられている。

 

乗車した特急「スノーモンキー」は、昼前後の時間帯だったこともあり割と高い乗車率で、1日目の中央本線特急のように、ここでもインバウンドと見られる海外の人を何人か見かけた。
成田エクスプレス」として走っていた頃は、最高時速120kmで日々都心と成田空港の間をせわしなく行き来していたが、今はそれよりもゆったりした速さで、平日には地元利用、休日には観光利用の乗客を運んでいる。その対比にもセカンドライフっぽさを感じてしまった。

 

特急列車に乗っていると、車掌さんがきっぷの確認や料金の精算などのために時折車内を巡回する。それ自体は他の鉄道路線でも見られるが、1つ面白かったのは、巡回をしながらお土産も販売していたことだ。他社であれば、そのような役割は車掌さんとは別の販売員・アテンダントが受け持っていることが多い。ここでは販売しているとは言っても、JRのように商品を満載にした大型のカートを押しているわけではなく、ポーチ程度の大きさのバッグに収まるくらいの量なので、兼務できているのだろう。

それにしても、特急なので次の停車駅までそこそこ時間もあり、しかも3両という短い編成なのですぐに先頭から最後尾まで往復できてしまうので、毎駅間でそのような姿を見かけることになる。それだけだと段々いたたまれなくなってくるので何か買おうと思ったのだが、残念ながらラインナップにはあまり欲しいものが無く、結局何も買わないまま乗り通してしまった。申し訳ないことをしたと思う。

 

終点の湯田中に着いたあとは、更に足を伸ばして観光地巡りに行っても、あるいは逆にそのまま折り返しても良かったのだが、沿線の景色と絡めた写真を撮るべく、線路に沿った道を歩きながら数駅戻ることに。
信州名物の1つにリンゴがあるが、この時の道すがらにもリンゴの果樹園がいくつもあって、たくさんのリンゴの木を見ることが出来た。収穫の時期にはまだ程遠かったが、それでも成長中のリンゴの果実が生っている木もいくつかあった。時期が合えば、大きく実ったリンゴがたくさん成っている光景を見ることが出来ただろう。

長電沿線の中でも有名な撮影スポットの1か所にて。

 

ところで、終点の湯田中駅とその手前の二駅は、山ノ内町という自治体に所在している。そして、湊と静弥の幼馴染である遼平の名字もまた山ノ内。前日の諏訪湖で知った事実といい、偶然が重なりすぎでは…?

 

長電は、普通列車向けの車両も首都圏の鉄道車両セカンドライフの場となっている。左は元東京メトロ(←営団地下鉄)、右は元東急の車両。

 

こうして現地に居られる時間を目いっぱいまで長電に浸ったので、長野駅まで戻ったあとの帰路は時短のため新幹線を使った。長野を発車した時点では空席が目立ったものの、途中の各駅で乗客を集め、軽井沢でほぼ全ての座席が埋まった。
中でも、その軽井沢では「全員乗り切れるのか?」と思うほど乗車を待つ客の列が伸びていた。見ていた列は指定席の列だったので、通常では乗り切れないことはないのだが*4、自由席も同様だったとするとかなり混み合っていたに違いない。軽井沢のブランド力を感じるとともに、普段はさておいても、多客期には軽井沢始発の列車を走らせてもいいのではないか、とお節介じみたことを考えてしまった。

 

2回目の長野訪問を終えて

冒頭で書いた通り、「今回は聖地巡礼の要素も含めつつ(中略)"鉄"分の補給に重点を置いたお出かけとすることにした」のだが、期せずしてそういった場所を訪れてしまうなど、終わってみればやはり聖地巡礼の割合が思っていたよりも多くなったと思う。まぁ、そもそも作品の舞台とされる場所の周りを巡っているので、意識しなくても自然とそうなってしまうのかもしれないが。

これで、昨年と合わせて都合2泊3日に渡って『ツルネ』の聖地巡礼目的で長野市を訪れたことになるが、実はまだ訪れていない場所があることが分かってしまった。その訪問ももちろんではあるが、アニメ2期では舞台が聖地が更なる広がりを見せたことから、是非とも今度はその巡礼にも赴きたい。

*1:実際にサービスエリアに立ち寄ったわけではないので、厳密には巡礼には当たらないかもしれないが、どうか大目に見てほしい

*2:湊が学ランを着ているのは、彼が持っている服の中で最も改まった服装だったからで、決して放課後に行ったわけではない…と思う。

*3:座席を指定したり個室を利用したりする場合などは別。

*4:混雑がひどくなると、自由席車両に入りきらなくなった立ち客が指定席車両にも入ることがよくある。